高垣酒造九代目杜氏高垣任世杜氏3期目の里の花純米吟醸が出来上がりました。
里の花純米吟醸
和歌山という地方にある小さな造り酒屋で、まったく無名でこだわりの一本の銘柄であった「龍神丸」。確かにメディアという媒体によって、一躍脚光を浴びるお酒となり、ひとり蔵ゆえに生産本数が余りにも少ないため需要と供給がつりあわず入手困難なお酒となり「幻の酒」といわれるまでになってしまいました。
噂のお酒、もやしもんに載っていたということで「一度は飲んでみたい」というお客様が龍神丸との大半のご縁の始まり・・・・確かに名ばかりのお酒もある中で、龍神丸はちがった!口にしたとたん、心に「感動」を起こしてしまった。「もう一度口にしたい」・・・日本酒通だけではなく、まったく普段日本酒に縁のない若い女性や焼酎やウイスキー党の方までも虜にしてしまいました。
そして、2010年8月9日龍神丸生みの親高垣淳一杜氏の突然の死去。
2004年発売以来たった6年というあまりにも短い時の中で龍神丸は、真の幻の日本酒、伝説の日本酒になってしまった。けれど、このお酒の残した功績は多大なものとしてこれからも人から人へと受け継がれていくことでしょう。
龍神丸にご縁のあった皆さんに、もう一度思い起こして頂きたいと思います。
たった6年という短い時間でしたが、龍神丸というお酒があったからこそ「何かが変わった」「新しい何かが生まれた」「何かを発見した」・・・・・色々なことが無形、有形にかかわらず生まれたものと思います。
そして、今、故高垣淳一さんの奥様任世さんが蔵入りを決断されました。まずは「170年間一度も休造することなく継続してきたことに穴を開けない」ということに挑戦されました。これからは、淳一さんの想いも織り込んだ中での酒造りをして参ります。まずは、そのために酒造りに専念できる環境づくりを少しお時間を頂きながらされるとのことです。
このコメントからの酒造りも早いもので3期目となりました。確実に右肩あがりで酒造りについては進化しています。ひとつの完成系のお酒を味わうということだけではなく、ひとつのお酒が育っていく階段をみなさまに感じ取っい頂ければと思います。
まだまだ龍神丸、喜楽里のように完成域に入ったお酒とはいい難いところもあるかと思いますが、いつか高垣淳一杜氏が醸した龍神丸、喜楽里のようなお酒になりえるだろうという原石を探り感じ取って頂ければと思います。
高垣任世杜氏3期目
24BY里の花吟醸一度火入れ720ml
3期目に入り段々と任世杜氏らしい酒造りと酒質を感じるようになってきました。高垣酒造らしい度数を感じさせないやわらかな口当りと素直に感じる米の旨みとスマートな喉越しは、これまで同様の高垣酒造らしさ。
任世杜氏の酒質の大きな特徴は爽やかさにあります。これまでの故淳一杜氏の酒質とは違い、やや酸度の高さに特徴があります。
今期の里の花純米吟醸も大変爽やかさのある酒質となっています。新酒時には米の旨みがまだ奥の方に潜んでいるため芳醇さが強く感じられませんが、ある意味暑い季節には重たさを感じさせず、喉越しもよくぴったり!
本番は、ひと夏を越してからとなります。
もっともっと熟成が進み、やわらかな口当りになり素直な米の旨みがしっかり感じられる頃まで時を重ねて飲まれるのも大いにありです。