寒流に乗り南下して熊野灘でとれた「さんま」は、脂もおち身も引き締まっています。そんなさんまをつかったお寿司がもう一品あります。
このさんまのお寿司は、万葉の時代に塩漬けにした魚をご飯とともに竹やバショウで包み、発酵させたもので、一説には握り寿司のルーツとも言われています。
全国の方にわかりやすく言うと琵琶湖名物のふな寿司のライトバージョンの醗酵保存食のお寿司です。
ここからが、酒屋らしい説明ですよ。
さんまなれ寿司は、さんまを塩漬けし、しゃぶしゃぶに炊いたごはんの上にさんまをのせ 木樽に何層も重ねて積みあげ、重しをし約1ヶ月前後熟成させ醗酵させるわけです。
そうなんです。俗にいう「発酵」をうながします。
そう・・・なれ寿司は、乳酸醗酵したお寿司なのです。だからお酢も使っていないのにお寿司のように酸味があるのは乳酸の仕業なのです。
生甘酒のところでもご説明していますが、「醗酵」と「腐敗」どう違うのか?
わかりやすく言うと人の体内に入れても体調を崩さないのが「醗酵」。
体調を崩してしまうものが「腐敗」。
てっとりばやく言うと「醗酵」は「腐敗」のカテゴリーに含まれているのです。
チーズ・ヨーグルト・カルピス・ふな寿司・・・・モンゴルの馬乳酒・・・世界各国どこの国にも、乳化醗酵食品(乳酸)は、沢山存在しているんですよね。
人の体内に入れて体調を崩す主な菌(食中毒菌)っていうのは、サルモネラ属菌・腸炎ビブリオ菌・黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌・病原性大腸菌などです。
それらの菌は、酸性の中では、増殖もできないし、さらに生きていくことも困難で死滅してしまうのです。
最後に酸性の中でも生きることができる乳酸菌だけが生き残り、その領域を制してしまうのです。この乳酸菌は、ご存知のように人にとって有益な菌なのです。
日本酒の製造方法にもある「生もと造り」などは、まさに空気中に存在する天然乳酸菌を増殖させて造られる製造工程のお酒なのです。
だから、なれ寿司が造られる季節は冬。そう日本酒と同じなんですネェ。
そして、なれ寿司と日本酒はよくあうと言われます。
その由縁は、同じ延長線上に生まれたものだということからでしょうか????
またお酒好きには、なれ寿司はお腹にたまらないからいいといわれます。確かに食べる割にはお腹が膨らみませんし、ご飯というよりもお酒の肴に近いとお考え下さい。七味醤油でお食べいただくと格別な味覚を楽しんでいただけます。食べた瞬間に酒のみなら必然的に「一杯が飲みてぇよー」と言ってしまう気持ちが理解できるはずです。
なれ寿司にも、「はやなれ」といってあまり醗酵していないものから、なんと! なんと! 30年ものという代物まで存在しています。日本酒でいう大古酒ですよね。30年ものは固形というよりも液体に近いものになっていますよ。
ようやく本題に・・・・
和歌山出身で直木賞作家の津本陽さんが、「和歌山の“功乃鷹”と“なれ寿司”故郷の味はいつまでも食べていられる」というなれ寿司についての一筆があります。
「いつまでも食べていられる」の意味の中には、先ほども申しあげたように「なれ寿司」は、お腹にたまらない。ということと調味料も塩のみ、甘味は米自身の甘味であり旨み、酸味は乳酸菌の自然の酸味なのです。
そして、なれ寿司を引き立ててくれる功乃鷹。
酒質の特徴は、米の旨みがありながらも、蔵元こだわりの「酸」と木の香りともいえる香りの個性が好感が持てます。
蔵元の好きなお酒は、関東の神亀・関西の奥播磨というだけあってこだわり蔵元らしい嗜好です。その意味もわかる気がする・・・・・。
以前、ワインソムリエの田崎真也さんが出しているワインの本に和歌山のお酒として“功乃鷹”が載っていました。
蔵元は、大変小さな蔵元です。こだわり親父の酒工房といったところでしょうか。
(怒られるかもしれないけれど・・・)けれど、平成9年から隔年で4回、全国新酒鑑評会金賞を受賞していると聞いていかがでしょうか。蔵の大きさで、質は判断できないでしょう・・・・
そして、今回お届けする“さんまなれ寿司”も個性のある食べ物です。
すべての人が“美味しい”といっていただけるものとは思っていません。が・・・・味覚の幅をお持ちの方にお食べ頂きたいと思っています。
そのなれ寿司の良さを引き立たすお酒としてふさわしい“功乃鷹”特別純米酒は、2年間熟成させたお酒、1年間熟成させたお酒、そして、今年のしぼりたてをご用意いたしました。
是非、一度、紀南の呑み助たちが今宵なく愛するさんまなれ寿司と功乃鷹をお試し下さい。
この企画は、3月10日までのご注文分までとさせて頂きます。
【セット内容】
◎さんまなれ寿司 2本
◎功乃鷹 特別純米酒 720ml 1本
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