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製造日付=製造日??? & 劣化と熟成は違います
≪製造日付=製造日??? & 劣化と熟成は違います≫ ◆新しい方が美味しいのでしょうか? アルコール全般の熟成に関しては、まだまだ未知の世界です。 ただ、熟成が最大の品質となるシングルモルトウイスキーやブランデー等は、それぞれの気候にあった熟成によって大きく味わいに違いが生まれ楽しいものです。 長期熟成については、やはり保存状態やベースとなるアルコール等の酒質そのものが鍵になると言われています。長期熟成に絶えうる良質のお酒ではないと意味がありません。 安く大量生産されるお酒ではあまりいい結果は得られないと言われています。 古ければ、古いほど良いというものでもありませんが、それだけ時間と手間がかかるという点では、価格も上がるのは当然です。(ウイスキーなどでも12年物より25年物のほうが高いのと同じです。) そして 昨今、ラベルの日付等をお気になさるお客様がいらっしゃいますが、ラベルに記載されている日付を一般の食品と同様の物差しで捉え、正しくご理解を頂いていないことがありますので、念のためご説明を少しさせて頂いています。 ラベルに記載されている日付と品質について正しくご理解を頂き、お客様に美味しくお召しあがって頂ければということでご説明させて頂いています。 私共の地酒業界および一般の方の中でも、ワインのように造りのよいお酒なら蔵の低温貯蔵庫や瓶詰後でも管理を丁重にし年月を寝かせると実は、瓶詰め直後の新しいお酒とは違い角が取れまろやかになり新しい若いお酒とは違った美味しさが見えてきます。また若いお酒とは違い体にも負担なくやさしいということが少しずつ一般の方々にもご理解頂けています。 江戸時代の「訓蒙要言故事」にも「新酒は、頭ばかり酔う。熟成酒は、からだ全体が潤うように気持ち良く酔う」と書かれています。熟成酒は、飲んだ後の「酔い覚めの良さ」が特徴で、熟成した酒の身体に対する優しさは、最近の医学会でも報告されています。 たとえば 【ウイスキーや焼酎よりもデリケートと言われている清酒に賞味期限はあるのだろうか?】 ワインは清酒と同じ醸造酒であるにもかかわらず製造年月の表示に係る基準がないため、製造年月・賞味期限表示はされていない。・・・・というより法律でしなくてもいいことになっている。 ワインはヴィンテージ(醸造年度)により高値がつくことがある。 「熟成させた(古い)ものが良い(おいしい)もの」と一般的に思われがちですが、実際は長期熟成に向くものばかりではなく、早飲みタイプのワインもあります。それにもかかわらず、その製造年月は気にされることなく飲まれている。販売されているという現実。(矛盾) ではワインの場合「食品衛生法」には賞味期限表示および製造年月の表記の規定はありません。 ところが清酒に関しては「清酒の製法品質表示基準」という基準が設けられており、製造年月表示が義務付けられています。 昨今の「食の安全・安心」への関心の高まりからなのか、清酒には製造年月表示がなされているから余計に、一般の食品同様と同じようなとらえ方をされ、日付が古くなったもの=まずいもの、劣化したものという勝手な判断をしてしまっていることを多くお見かけします。 比較的高いアルコールが含まれている清酒は、開封(開封後でも管理さえよければOK)がされていなければ腐敗することはまずありません。乱暴な言い方ですが、清酒はいくら古くても飲用は可能であるといえるのです。(現存する古酒は80年物、当店でも40年物が販売しております。) ただ万人の方にとって「美味しいか」は別ですし、特に常温で5年・・10年・・という時間をかければかけるほど、搾られた頃の味わいとは違う熟成酒特有の「香り」や「口当たり」や「味わい」が強く感じられるようになってきます。 ◆そのように熟成したお酒は、では「まずい」のかというとそうではありません。 それらの酒質に熟成したお酒も、それぞれのお酒に合った飲み方や楽しみ方をすれば、新しいお酒にはない「美味しさ」や「奥深さ」に出会えるわけです。 そこで「どう楽しめばよいか」アドバイスしてくれる酒屋さんがいないと、それが良いものなのか、悪いものなのか、どう楽しむのかが分かりずらい。出会ったことのない酒質の判断がしかねるかもしれませんよね。 よく子供がビールを口にしたときに「こんなの苦くて美味しくない」ということと似ています。 それと「冷蔵保存」されているお酒は、「常温保存」のお酒とくらべて大変、熟成スピードが遅くなります。それも「冷蔵温度」が低ければ低いほど熟成スピードが遅くなることから、今では、生酒を氷点下5度で3年や5年寝かしていることも多々あります。 また近年、中小蔵元が「瓶貯蔵」という保存方法をとりいれています。 タンクごとの貯蔵によるスペースの問題と劣化(空気に触れささない)というディスクからの回避、そして、なりよりも熟成というものを重んじて。低投資・ローディスク・品質アップということが大きなメリットとして「瓶貯蔵」で熟成させています。 ただ「賞味期限」という観点からみれば、食品衛生法において、賞味期限とは「定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする」と定義されています。 つまり、「賞味期限」とは、最初の頃のような味や風味が保たれている期間として表示されるもので、品質保持期限と同じ意味で用いられています。 ここで疑問になるのが、最初の品質とは違い、「より美味しくなってしまっている」場合も、該当外なんでしょうかねぇ~。 清酒の場合において、 製造年月を基準に賞味期限を設定しようという事自体、ナンセンスで、出荷(瓶詰)する時点で、搾ってから、実際は数ヶ月以上、それ以上に何年も経ってしまっていることも、ごく当たり前のようにあるのですから。 ただ、すべてのお酒が「いくら古くても、いつまで経っても」美味しく頂けるわけではない。 美味しく飲んで頂くには、それなりの条件をそろえて管理されていることと飲まれる側の味覚基準が「それが美味しい」と思って頂ける舌の持ち主であることも大切な要素です。 そのためにも、色々な日本酒を飲んで頂き、それぞれのお酒の良さを感じ取って頂け、自らの舌を養って頂ければ、日本酒に限らず、きっと楽しいアルコールライフが広がるものと思います。 ◆製造日≠製造年月 清酒は寒造りといって、冬季を中心に1年間の予測出荷分を仕込むのが一般的です。 蔵元で製造されるお酒のほとんどは、冬から春にかけて搾り出されたものです。 そして、搾られた後に濾過や火入れを行い、蔵内で「貯蔵(熟成)」の工程を経ることになります。 つまり、秋に出荷される商品であっても、実際にはその年の春や、前年の冬に造られているということになるのです。 しかし、このことがすぐに「古い酒を出荷している」ことにつながるかといえば、答えはノーです。 確かに搾りたての清酒には、新酒ならではのフレッシュさや力強さがあります。 しかし清酒は熟成をさせることで、新酒にはない複雑で深い味わいや、旨味が引き出されるのです。貯蔵(熟成)は立派な製造工程のひとつです。 次の写真のように、醸造年度と製造年月日は一致しません。
普通のお酒には製造年度はほとんど記載されていません。この蔵元はいかに良心的で酒質に自信があるかという表れのひとつもそうです。 アルコール飲料の製造年月日は、食品などと違いアルコール飲料全般に大きくいえば言えることなのです。 また醸造年度が記載されずとも、お客様がお買い上げ頂こうとするお酒の経歴を言える酒屋さんを選ぶのも、本当に美味しく、安心して、体に優しいお酒を購入することができる酒屋さんの証でもあります。 そして大切なのは、お酒の保存方法であり、そのことをちゃんと理解して販売している酒屋さんであるかどうかだと思います。 とはいえ、製造年月が記されている以上、日付が古ければ気になってしまうのが人の性。 出荷後の保存状態が良くなければ、酒質はほぼ間違いなく劣化するわけですから、製造年月が商品選択の際のひとつの目安となるのは当然の流れです。 しかし、あくまでも日本酒の賞味期限を語る上で一番重要なのは保存方法なのです。 きちんと保存しておきさえすれば、多少年月が経過していても充分おいしく飲むことが可能です。逆に、いくら製造年月が新しいものであっても、温度が高い所や、光(直射日光)が当たるようなところに保存しておけば、それはたちまち劣化してしまいます。 日付だけにとらわれず、ご家庭や店頭での保存状態も賞味期限を考える上での大切な目安だということを知って頂きたく思います。 そして、美味しいお酒と出会うには、お酒が搾られて、お客様にお買あげ頂くまでの間の品質管理、そして、お買あげ頂いた後でも、お客様に正しい保存方法・楽しみ方をお伝えするお店でご購入頂くこともひとつの物差しとお考えください。
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